創立50周年。まさに節目の年。
この記念すべき日にあなたは記念品としてメモ帳を用意しました。
今を遡ること1年前…。
営業職であるあなたは、直属の上司から会社の周年事業の記念品担当に任命されました。
「え?そんなことは事務方にまかせておけばいいんじゃないですか。」
「だめだよ。日頃お客さんと接しているのは君だ。顧客目線の記念品を用意してくれ。」
「顧客目線っていっても、お客さんによってもらって嬉しいもののなんてマチマチですよ。」
「それは最大公約数で。」
一番困るオファーを上司は出してきました。
身の危険を感じたあなたはこう返します。
「せめて何かしらの条件をつけてください。予算はこれだけとか、こういったものだけは絶対に駄目とか。」
「できるだけ安いほうがいい。高くていいものは当たり前。安いけど、しっかりとお客さんに利用される物がいい。利用されなければただのゴミだからね。で、ついでに会社の宣伝になるものがいい。」
あなたはとりあえずググります。
「記念品 名入れ」「記念品 ランキング」「記念品 安い」「記念品 コスパ」「記念品 オリジナル」等…。
ひととおりリサーチをかけてわかったのは、やはりその手の記念品で一番無難なのはステーショナリーであることでした。
その中で群を抜いておすすめされるのがボールペン。
これはもらったら使います。ただペンについてはインクがなくなればそれでポイという使い捨てのものが多いです。また人それぞれ、ペンには使用感等にこだわりがるため、ペン立てにさしてそのままというケースがあります。また名入れスペースも限られていて、せいぜいで会社のロゴを入れる程度です。
会社の名前は売れるのかもしれませんが、そもそもこのペンを渡すのは周年記念事業に招待する出入りの業者。彼らにいまさら「うちの会社は〇〇や!」と大声で叫んだところで、何の宣伝効果があるというのでしょうか。
こうなるとペンは宣伝という意味でちょっと首をかしげてしまうアイテムになってしまいます。
あなたは頭を抱えます。
あれから1年。会社の周年記念事業は特に大きな問題もなく、無事挙行されました。
それから1ヶ月ほど経ったある日、あなたの会社に一本の電話が。
「メモ用紙におたくの会社の情報が印刷されてて、気になって電話したんです。」
「メモ?」
「え?メモですか?」
「はい。ウチの出入りの業者さんが伝言ってことでメモ用紙を置いていったんですけど、そこにおたくの会社が1缶からでも灯油を配達しますって書いてあったので…。」
「あ…。」
「お願いできますか。」
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